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生地の無駄を抑える!型紙と着丈で効率的に用尺を算出する方法

洋服を作るとき、生地選びと同じくらい重要なのが「用尺(要尺)の計算」です。

適切な生地量を計算することで、コスト削減や作業の効率化にもつながります。

本記事では、型紙がある場合と型紙がまだない場合、それぞれの状況における用尺の算出方法について詳しくご紹介します。

2024年11月27日更新

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1. パタンナーさんがいれば、型入れ図をつくってもらえる

型紙が完成している場合、パタンナーさんに「型入れ図」を作成してもらうことで、生地の無駄を最小限に抑えた効率的な用尺計算が可能です。型入れ図とは、型紙の各パーツを生地の上にどのように配置して裁断するかを示した図で、これに基づいて正確な生地量が決まります。これは「マーキング」とも呼ばれ、パーツを生地に無駄なく並べるプロセスです。マーキングは、生地の効率的な利用を図るための重要なステップであり、生地の無駄を減らし、コストを抑えることにつながります。


また、このマーキング作業をより効率化するために、アパレルCADのマーキングソフトが広く活用されています。このソフトはパーツの形状や生地幅、生地の柄合わせを自動的に計算し、最適なパーツ配置を瞬時に提示します。これにより、手作業で行うよりも精密で効率的な型入れが可能となり、結果として生地の使用量をさらに減らすことができます。チェック柄やストライプ柄などの柄合わせが必要な生地に対しても、CADソフトは自動的に考慮し、正確な裁断が行えます。

パタンナーさんによる型入れ図とマーキングの活用ポイント:

生地幅に合わせたパーツ配置:

パタンナーさんは、生地幅に応じて最適なパーツの配置を計算します。生地幅が狭い場合、前後身頃を別々に配置する必要がありますが、幅広の生地なら一度に複数のパーツを並べられ、効率が上がります。マーキングソフトを利用すれば、パーツ配置が自動で最適化され、生地幅を最大限に活用することが可能です。

無駄を減らすパーツ配置:

パタンナーさんが作成する型入れ図は、パーツ間の隙間を最小限にし、生地の無駄を削減するために工夫されています。長方形や直線的なパーツをまとめて配置し、曲線的な部分や小さなパーツを隙間に効率よく配置することで、生地の使用量を最適化します。アパレルCADは、こうした複雑なパーツ配置も瞬時に計算し、最も効率的な配置を提案します。これにより、手作業では難しい最適なマーキングが実現し、コスト削減に繋がります。

2. 型紙がない場合の概算方法—着丈をもとに算出する

型紙がない場合でも、着丈をもとにおおよその用尺を計算できます。 生地幅にもよりますが、例えばワンピースやチュニックであれば、次の計算式でおおよその用尺を計算できます。

・用尺=(着丈+10cm)×2+袖丈+5cm

例えば、着丈が100cm、袖丈が40cmであれば、265cmの生地が必要と概算できます。

ただし上記は生地幅が90〜110cmの場合を想定していて、ワンピースの前身頃と後身頃を別々に配置するため用尺がかさみます。140〜150cm幅などの広幅の生地を使用すれば、おおよその計算式は

・用尺=着丈+10cm+袖丈+5cm+衿分

となります。前後身頃を一度にカットできる場合が多いため、生地の用尺が減ります。

用尺算出のおおよその計算式の例(レディス)

※裾まわり寸法が極端に広い場合はこの限りではありません。

ワンピース・チュニック

生地幅 用尺
90〜110cm幅 (ワンピース丈+10)×2+袖丈+5
140〜150cm幅 ワンピース丈+10+袖丈+5+衿分

ギャザースカート・タイトスカート

生地幅 用尺
90〜110cm幅 (スカート丈+10)×2
140〜150cm幅 スカート丈+10

フレアスカート

生地幅 用尺
90〜110cm幅 スカート丈+10)×3〜4
140〜150cm幅 (スカート丈+10)×1.5〜2

パンツ

生地幅 用尺
90〜110cm幅 (パンツ丈+10)×2
140〜150cm幅 パンツ丈+10

ジャケット

生地幅 用尺
90〜110cm幅 (ジャケット丈+10+袖丈+8)×2
140〜150cm幅 ジャケット丈+10+袖丈+10+袖丈+8+衿分
(文化出版局<裁ち方・縫い方質問集>より引用)

ただし、柄合わせが必要な場合は、型入れの効率が下がるため、用尺はより多く必要になります。柄合わせが必要な場合や綿・麻などの水通しで縮む素材は1~3割程度多めの見積もりが必要です。他にも生地キズを避けることが必要な場合もありますので、多少はゆとりを持って生地を購入できれば安全です。

まとめ:生地の無駄を抑えるための効率的な用尺計算方法

生地を購入するにあたり、生地の用尺を正確に算出することは重要です。

パタンナーさんに「型入れ図」をつくってもらうことができれば、生地の無駄を最小限に抑えることが可能です。アパレルCADのマーキングソフトを利用すれば、効率的な生地配置が自動で行え、コスト削減が期待できます。


また、型紙がない場合でも、着丈を基にした計算式を使用しておおよその用尺を算出できます。生地幅や柄合わせの必要性を考慮し、計算に余裕を持たせることが大切です。